思春期だけでなく、大人でも悩むことの多い肌トラブル、ニキビ。放置して悪化すると、完治させることのできないニキビ痕が残ることがあります。ニキビの原因は、過剰な皮脂分泌や毛穴の詰まり、ホルモンバランス、生活習慣などといわれており、自己判断でのケアでは改善しないことも多いため、早めに専門的な治療を受けることが重要です。
Verde Clinic お茶の水では、ニキビ痕を作らないための専門的な治療を行っています。オンライン診療も可能であり、御茶ノ水駅から徒歩3分というアクセスの良さで忙しい方にも通いやすい環境です。ぜひ一度ご相談ください。
ニキビの概要
誰もが経験する可能性のある、とても身近な皮膚のトラブル、ニキビ。医学的には「ざ瘡」という皮膚の病気で、特によく見られる一般的なものは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」、膿が溜まったものは「膿疱性ざ瘡(のうほうせいざそう)」という病名で呼ばれます。ここでは、一般の方が読みやすいように「ニキビ」で呼び方を統一させていただきます。
ニキビは、毛穴に皮脂や古い角質が詰まることで、皮膚(毛穴)に炎症が起こる病気です。そして、炎症が起こることで、皮脂が過剰に分泌されたり、角質が厚くなったりして、毛穴を詰まらせる病気です。皮脂は本来、肌の潤いを保つために分泌されるものですが、過剰になると毛穴を塞いで溜まってしまいます。そこに皮膚常在菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖することで、炎症が悪化し、赤く腫れ上がったり、膿んでしまったりするのです。ちなみに、特に夏に悪化する胸や背中のにきびなどでは、同じく皮膚常在菌のマラセチア菌が関わっていることもあります。
ニキビは、皮脂が増える10代の思春期に目立つようになることが多いのですが、20代以降の成人や、中高年にも発生することがあります。これは、生活習慣の乱れやストレス、ホルモンバランス、スキンケアの方法など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生すると考えられています。
一口にニキビと言っても、その症状はさまざまです。皮脂が詰まっただけの状態である白ニキビ、それが酸化して黒く見えるようになった黒ニキビ、炎症を起こして赤く腫れた赤ニキビ、さらに悪化して膿が溜まった状態の黄ニキビなどがあります。場合によっては、ニキビ痕として肌に凹凸が残ってしまうこともあり、深刻な悩みを抱える患者さんもいらっしゃいます。
ニキビの治療は、症状や重症度、そして原因によって異なります。自己判断で治療を行うのではなく、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。最新の研究では、以前からある抗生剤治療に加えて、毛穴の詰まりを改善・予防する保険治療の塗り薬やケミカルピーリング、漢方薬、光治療にレーザー治療など、種々の治療の有用性が科学的に判断されるようになってきています。
治療対象となる方
皮膚科には、たくさんのニキビにお悩みの方が来院されますが、原則全員が治療対象といえます。
受診される方で「思春期だからニキビができるのは当たり前」「年齢を重ねると治るだろう」そう思って自己流でケアを続けていたという方は少なくありません。しかし、ニキビは放置や不適切なケアを続けてしまうことで、赤く腫れ上がったり、膿んでしまったりと、症状が悪化する可能性があります。そして、その結果ニキビ痕として肌に凹凸が残ってしまうこともあります。医学の発展に伴ってニキビ痕を目立ちくくさせるような治療も出てきていますが、特に深いニキビ痕(瘢痕)に関しては現代の医学でも完治させる治療はまだありません。そのため、可能な限りニキビ痕ができる前、増える前から治療を行うことが望ましいとされます。
ニキビは、10代の若い世代では、ホルモンの分泌が活発になることで皮脂の分泌量が増え、誰にでもできる可能性があります。思春期ニキビは、おでこや鼻など、いわゆるTゾーンにできやすいのが特徴です。
一方、20代以降の大人になってからできるニキビは、俗に「大人ニキビ」とも呼ばれ、フェイスラインや口周りにできやすい傾向があります。こちらは、ストレスや不規則な生活習慣、ホルモンバランスの変化、間違ったスキンケアなどが関係することが多く、肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、毛穴が詰まりやすくなることが原因と考えられています。
このように、ニキビができる原因は人それぞれであり、年齢や性別、生活習慣によって異なる場合もあるのです。Verde Clinic お茶の水では、患者さん一人ひとりのニキビの原因や症状に合わせた治療法をご提案していますので、ニキビにお悩みの方は、年齢を問わず、お気軽にご相談ください。
当院での治療について
Verde Clinic お茶の水では、ニキビの原因や症状に合わせたさまざまな治療法をご提案しています。ニキビ治療において重要なのは、一人ひとりの肌の状態、生活習慣、そしてニキビを悪化させる要因を意識して、それらに合った治療プランを一緒に作っていくことだと考えています。そのため、事前問診や診察の際に日常生活についてお伺いすることもありますが、ご了承ください。
ニキビの発症・悪化には、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。状況に合わせた適切な治療法を選択することが、一日でも早くニキビのないお肌を取り戻すための近道となるのです。
当院皮膚科では、無理に自費診療をお勧めすることはなく、むしろ基本的には保険診療の範囲の治療を中心に行っております。
治療の中心となるのは、毛穴の詰まりを改善・予防する塗り薬です。毛穴の詰まりの治療は、以前は自費診療のケミカルピーリングが中心でしたが、近年では保険でピーリング作用のある薬が使えるようになっています。このようなお薬は、使い方次第で効果が出にくかったり副作用がひどく出てしまったりすることがあり、適切に使うことが大切です。他のお薬では、ピロリ菌を減らす抗生剤も重要です。近年では抗生剤のやみくもな使用による耐性菌化も問題となっており、必要なタイミングで必要な期間使用することが大切です。その他、日常生活におけるアドバイスや、漢方薬やビタミン剤などの投薬、面皰圧出処置なども保険治療として行うことがあります。
自費診療として、毛穴のピロリ菌や皮脂腺(皮脂を分泌するところ)にエネルギーを加えることでニキビへの、また皮膚の深い部分のコラーゲン生成を促すことでニキビ痕への効果が期待されるレーザー医療機器や、毛穴の洗浄・ピーリングを行うウォーターピーリング機器などもご用意しておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。また、今後ケミカルピーリングやドクターズコスメ、ビタミンA誘導体の内服治療、ニキビ痕に対する瘢痕治療などの導入も検討しております。
しかし、いずれの治療も魔法ではありませんので、治療の効果を高め、再発を防ぐためには、患者さん自身のライフスタイルの見直しも重要になってきます。当院では、医師による丁寧な診察を通じて、患者さん一人ひとりの生活習慣についてのアドバイスも行っています。
ニキビは、適切な治療と生活習慣の改善を組み合わせることで、改善が期待できます。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
診察の流れ
VERDE CLINIC お茶の水では、患者さんに安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な問診と診察を心がけています。通常のニキビ治療の流れは以下のとおりです。
- 予約
保険診療では、デジスマというサービスで予約を承っております。初診時は当院ホームページや公式LINEからご予約いただくことが可能です。オンライン診療の利用には、スマートフォンのデジスマアプリが必要となります。それ以外にも、アプリにはスムーズに診療を受けるための機能が備わっていますので、もしよろしければインストールしてご利用下さい。
なお、アプリの通常利用に関しては、患者さんの利用料負担はありません。オンライン診療利用時には、¥300のシステム利用料を診察料と併せて頂戴しております。 - 問診
予約後に、Web事前問診票のURLをお知らせしておりますので、来院までにご回答をお願いします。初診時には、「一番気になる症状」という項目がございますので、ここで「ニキビ」を選択いただきます。その後は案内に従ってご回答ください。 - 来院・受付
予約日時になりましたらご来院ください。受付にて保険証(マイナカード)を認証いたします。受付が完了しましたら、診察室よりお呼びいたします(基本的に、同じ予約枠の方の診察順は受付の順となります)。
オンライン診療の場合には、予約時間の前にアプリよりチェックインして下さい。予約時間になりましたら、デジスマアプリでビデオ通話の呼び出しをさせていただきます。
(対面診療、オンライン診療とも、状況により多少時間が前後する可能性がございます) - 診察
問診票の内容にもとづいて、診察いたします。通常は問診と視診・触診による診察ですが、まれに検査をご提案することがあります。
診察結果にもとづいて、患者さんの状況に応じた治療法と治療計画をご提案します。治療内容や予想される効果、起こりうるリスク、治療期間などについてお伝えして、治療の選択をサポートいたします。 - 会計、処方箋・診療明細等お渡し、次回予約
対面診療の場合には、診察後は受付に戻っていただき、そちらで会計と処方箋・診療明細等のお渡しを行います。
また、次回の予約もお願いします。(もちろん、後日患者様ご自身で予約いただいても大丈夫です)
オンライン診療の場合には、お薬を受け取る薬局をお知らせください。指定された薬局に処方箋をFAXいたします。なお、診察代に関してはデジスマアプリによるクレジットカード決済になります。 - 処方薬受け取り
対面診療の場合には、患者さんのご都合のよい薬局に処方箋をお持ちいただき、処方薬を受け取っていただきます。 - オンライン診療の場合には、指定された薬局にお薬で処方薬を受け取っていただきます。
治療に伴うリスク
ニキビ治療は、適切に行えば安全性の高い治療法ですが、まれに以下のようなリスクが生じることがあります。
- アレルギー
- 過去にアレルギーを起こされたことのあるお薬を再度利用されることは、より強いアレルギーを起こす可能性があるため基本的にはできません。以前にお薬でアレルギー症状を起こしたことのある方は、そのお薬と、その時の症状を、必ずお伝えください。
- 赤み、かゆみ、皮むけ、乾燥
- 毛穴の詰まりを改善するタイプの薬を開始してしばらく(多いのは1-2週間後頃)、薬のピーリング効果により一時的な赤みやかゆみ、皮むけが生じることがあります。通常、2週間~1ヶ月頃には改善してきますが、強い赤み、かゆみがある場合や症状が長引く場合は、副作用のかぶれ症状を生じている可能性などもありますので、早めに医師に相談してください。また、ピーリング後の皮膚は刺激に弱いですし、ニキビ予防の観点でも擦らない洗顔や紫外線対策などの適切なスキンケアを行っていくことが大切です。
- 乾燥症状も治療初期に現れやすいですが、ピーリング効果で皮膚が薄くなることによる乾燥のしやすさは継続的なものですので、十分な保湿を続けることを心がけてください。
- 色素沈着/色素脱失
- ニキビの炎症により色素沈着を起こすことがありますが、これは治療の副作用ではありません。炎症後色素沈着というものになり、保険治療の範囲でお薬を処方できることがありますので、ご相談ください。
- 薬に関連した治療の副作用では、塗り薬でかぶれを起こしてしまった後の色素沈着や、一部の抗生剤を長期に使用することで起こりやすくなる色素沈着があります。かぶれに関しては、早期に対応することで色素沈着のリスクを減らせますので、かぶれを疑う場合には早めにご相談いただくことが大切です。
- 他に、自費治療のレーザー治療でも、色素沈着のリスクが知られています。レーザー治療後の紫外線や不適切なスキンケアがリスクとなります。また、色素沈着を起こしている部位にレーザーを当ててしまうと、色素脱失と言って皮膚の色が抜けたようになることがあり、この変化は色素沈着と比べても長期化しやすいことが知られています。
- いずれの色素沈着に関しても、紫外線がリスクになりますので、治療期間中はしっかり遮光することをお勧めします。ニキビ自体にも紫外線はあまりよくないと考えられています。
- 耐性菌
- 時々、特定の抗生剤が効きにくい耐性菌がいます。抗生剤を長期で使うと、その抗生剤に対する耐性菌が増えて、使えない抗生剤になってしまうことがあります。なるべく耐性菌を増やさないよう、抗生剤は決められた期間のみ使うことと、経過によっては早めにご相談いただくよう、お願いいたします。
- 髪の毛や衣類の脱色
- 毛穴の詰まりを改善するタイプの薬の中で、「過酸化ベンゾイル」という成分には漂白作用があるため、髪や衣類にはなるべくつけないようご注意ください(薄く塗った部位に当たった程度であれば基本的には大丈夫です)。
万が一、施術後に気になる症状が出た場合は、すぐに当院までご連絡ください。
注意事項・禁忌
- 妊娠中の方や授乳中の方は、事前問診に入力欄がありますのでそちらをチェックして、診察時に医師にご相談ください。使用できる薬剤や施術方法が限られる場合があります。
- 治療部位に炎症や感染症がある場合は、症状が悪化する可能性がありますので、医師にご相談ください。
- 治療中は、紫外線対策をしっかり行いましょう。紫外線を浴びると、炎症が悪化したり、色素沈着を起こしたりする可能性があります。日焼け止めをこまめに塗布したり、帽子や日傘を使用したりするなど、紫外線対策を徹底しましょう。
- 治療効果を高めるために、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。ニキビは、生活習慣や食生活と密接に関係していることがあります。
家庭でのケア方法
- 治療後は、医師の指示に従って、処方された薬を正しく使用してください。自己判断で薬の使用を中止したり、使用量を変えたりすることは避けましょう。
- 治療部位は清潔に保ち、刺激を与えないように優しく洗いましょう。ゴシゴシこすったり、熱いお湯で洗顔したりすることは、お肌への負担が大きいため、避けましょう。
- 保湿をしっかり行い、お肌の乾燥を防ぎましょう。乾燥は、バリア機能の低下や炎症の悪化に繋がります。
- 紫外線対策として、日焼け止めを塗布したり、帽子や日傘を使用しましょう。紫外線を浴びることで、ニキビが悪化しやすく、色素沈着も起こしやすくなってしまいます。
ニキビは、毛穴を中心に炎症が起こるありふれた皮膚の病気ですが、患者に重い心理的負担や、治療困難なニキビ痕を残す可能性があります。適切なスキンケアと治療法を選択することが重要であす。
よくある質問
皮膚科によく寄せられるニキビに関する質問をまとめました。
Q1.ニキビは自然に治りますか?
ニキビは、自然に治る場合もありますが、炎症が悪化したり、ニキビ痕が残ったりする可能性があります。
赤ニキビを放置しておくと、炎症が周囲の組織に広がり、皮膚の深い部分である真皮層にダメージが及ぶことがあります。すると、肌の表面がデコボコとしたニキビ痕や、赤みや茶色い色素沈着として残ってしまうリスクが高まります。
早期に治療を開始することで、ニキビを早期に改善し、ニキビ痕のリスクを減らすことにつながります。自己判断せず、まずは皮膚科にご相談ください。
Q2.ニキビができやすい場所ってありますか?
ニキビは顔だけでなく、背中や胸、頭皮などにもできます。
顔の中でも、皮脂腺が多く皮脂分泌が盛んなTゾーンと呼ばれる「おでこ」「鼻」「あご」は、ニキビができやすい場所です。特に思春期ニキビは、このTゾーンに集中してみられることが多いです。
一方、大人ニキビは、フェイスラインやUゾーンと呼ばれる「あご」「口周り」にできやすい傾向があります。これは、ストレスやホルモンバランスの乱れ、不規則な生活習慣などが影響し、肌のバリア機能が低下することで、これらの部分に炎症が生じやすくなるためと考えられます。
また、髪の毛の生え際やマスクで擦れる部分は、摩擦や刺激によってニキビができやすくなります。ニキビができる場所は、年齢や性別、生活習慣、体質などによっても異なるため、一度皮膚科にご相談されることをお勧めします。
Q3.市販薬でニキビ治療はできますか?
市販薬でもニキビの症状が緩和する可能性はあります。
市販薬には、殺菌作用のある「イソプロピルメチルフェノール」や「サリチル酸」や、抗炎症作用のある「イブプロフェン」が配合された塗り薬など、さまざまな種類があります。
しかしながら、アクネ菌に対する市販薬の殺菌作用は限定的であると考えられ、特に毛穴の深い部分や膿が溜まった部分には十分な効果は期待しにくいように考えられます(処方薬であっても、抗生剤の塗り薬だけでは十分な効果が得られないことは珍しくありません)。
また、近年のニキビ治療で重要な毛穴の詰まりの改善・予防に関しては、2024年11月現在、有効な市販薬がありません。
さらに、ニキビの原因や症状は人それぞれ異なります。
ですので、ニキビを気にされて治療を考える状況であれば、自己判断で市販薬を使用するのではなく、皮膚科に相談されることを強くお勧めします。もちろん、市販薬で効果が得られない場合や、ニキビ痕が気になる場合も、自己流でケアを続けるのではなく、医療機関を受診しましょう。時々、市販薬を使った後に受診すると怒られるから受診したくないと聞くこともありますが、市販薬を使っていただけで怒る皮膚科医はあまりいないと思います。少なくとも、VERDE CLINIC お茶の水にはおりませんので、安心して受診して下さい。
Q4.どうしてニキビ痕は残るのですか?
ニキビ痕は、炎症が起きた皮膚が再生する過程で、痕が残ったものです。
ニキビの炎症がひどいほど、そして炎症が長引くほど、痕が残る可能性が高くなります。ニキビ痕は、『赤み』『色素沈着』『クレーター状の凹み(萎縮性瘢痕)』『肥厚性瘢痕』『ケロイド』など、いくつかのタイプに分類できます。
- 赤み:炎症が起こるとその部分の血管が拡張して血流が良くなり、皮膚の浅い部分では赤みとなります。通常、炎症が落ち着くと血管拡張は改善しますが、炎症が強い場合や長く続いた場合に血管の拡張とそれによる赤みが残ることがあります。治療としては、レーザー治療が一般的ですが、保険外の自由診療になります。
- 色素沈着:炎症によって黒い色素であるメラニンが過剰に生成され、皮膚に沈着した状態です。紫外線対策を行うことで、通常は数ヶ月の経過で消えていきます。なるべく早い改善を目指す場合、ビタミンC等の内服やケミカルピーリング等の手段がありますが、保険外の自由診療となることが多いです。
- クレーター(萎縮性瘢痕):炎症が皮膚の深い層まで達することで異常なコラーゲンが作られ、そにれよって皮膚が引きつれて、肌に凹みができてしまった状態です。治療としては、マイクロニードリングやフラクショナルレーザー、ケミカルピーリングなどが行われることがありますが、これらの治療は保険外の自由診療になります。
- 肥厚性瘢痕:炎症が治る過程で、皮膚の深い層でコラーゲンが過剰に生成され、皮膚が盛り上がってしまった状態です。治療としては、ステロイドの外用/テープ/局所注射、圧迫治療、トラニラストという飲み薬、手術、充填剤(フィラー)注射などが行われます。治療によっては、保険外の自由診療となります。
- ケロイド:肥厚性瘢痕と同様に皮膚の深い層でコラーゲンが過剰に生成されますが、それが広範囲に拡大し、元のニキビの範囲を大きく超えて赤く盛り上がってしまった状態です。体質が関係していることが多く、かゆみや痛みを伴いやすいです。治療は肥厚性瘢痕に似ていますが、注射などの刺激でも悪化しやすいことや手術では放射線(電子線)治療と組み合わせが必要とされることなど、より治療が難しくなります。
ニキビ痕は、一度できてしまうと、自然に消えることは難しく、治療にも時間や費用がかかります。そのため、ニキビ痕を残さないためには、ニキビができ始めたら早めに治療を開始することが大切です。
Q5.食生活で気を付けることはありますか?
ニキビと特定の食物との関係は明らかではないとされています。つまり、ニキビの患者さん全員に勧められる特定の食品の制限はありません。もちろん、極端に脂質の多い食生活を行うことで皮脂が多くなり、それによってニキビが悪化する可能性などはあるので、バランスの取れた適量な食事を心がけることは大切です。なお、バランスよく食べられていれば極端に不足することは通常ありませんが、皮膚の代謝にビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、亜鉛などが関わっていることが分かっています。
- ビタミンA:皮膚・毛穴の角化や皮脂の分泌に関わっています。ニキビの薬に、ビタミンAに類似した物質があるくらいですが、過剰摂取による副反応が知られており、特に妊婦さんでは奇形の原因となるため摂りすぎは厳禁です。といっても、通常の食事のみで過剰摂取になることはそうありませんので、サプリメントや薬を使用する場合以外は過度に気にしなくても大丈夫です(うなぎやレバーを日常的に食べるような方は気をつけてください)。人参やホウレンソウ、卵黄、バター、レバーなどに多く含まれています。
- ビタミンB群:様々な種類がありそれぞれで働きは異なりますが、皮膚の新陳代謝を促し、健康な状態に保つ働きを担うものがあります。豚肉、レバー、大豆製品、玄米などに多く含まれています。
- ビタミンC:コラーゲンの生成を助け、皮膚のハリや弾力を保つ働きなどがあります。また、抗酸化作用があり、ニキビの原因となる活性酸素を除去する効果も期待されます。柑橘類、ブロッコリー、キウイフルーツ、ジャガイモなどに多く含まれています。
- 亜鉛:皮膚の再生、傷の治りに関わっています。また、皮脂の分泌を抑制する効果が期待されます。牡蠣、牛肉、アーモンド、チーズなどに多く含まれています。
逆に、脂肪分や糖分の多い食事は、皮脂の分泌を促進する可能性があるので注意が必要です。
- 脂っこい食事:揚げ物や脂身の多い肉などの摂りすぎは、皮脂の分泌を促進し、ニキビを悪化させる可能性があります。
- 甘いもの:糖分を多く含むお菓子やジュースなどの摂りすぎは、皮脂の分泌を促進するだけでなく、肌の炎症を悪化させる可能性があります。
ニキビと特定の食物との関係は明らかではないとされますが、食生活の乱れはニキビにも身体にもいいことではありません。バランスの取れた食事を心がけましょう。
Q6.何歳くらいからニキビ治療はできますか?
ニキビ治療は年齢に関係なく受けることができます。Verde Clinic お茶の水では、小児ニキビから大人ニキビまで、幅広い年齢層の患者さんのお悩みにお応えします。
ニキビは、思春期に出てくることが多いですが、大人になってからもニキビに悩む方は少なくありません。
年齢や症状によって原因が異なることがありますし、お薬によってはお子様や妊娠中、授乳中の方に使えないものもあります。治療効果を上げ、不要な副反応を減らすためには、状況に応じた適切な治療法を選択することが重要です。
Q7.治療にかかる費用はどれくらいですか?
ニキビ治療の費用は、治療内容によって異なります。保険診療で3割負担の方では、初診か再診か、オンライン診療科否か、処置があるか否か、薬がどの程度必要かなどで変わりますが、1回あたり1000-3000円弱となることが多いです。自由診療の場合は治療内容によってかなり幅がありますが、保険が効かず全額自己負担となるため、より高額になることが一般的です。
Q8.治療中の注意点はありますか?
受診時には、肌の状態をしっかり確認するためにメイクを落としていただく場合があります。
また、一般的なニキビ治療における注意点としては、以下の点が挙げられます。
- 日焼けは避けるようにしてください。
- 前日に施術部位の毛を剃らないようにしてください。
- 当日は、施術部位に化粧水や乳液などは塗らないようにしてください。
- 飲酒や激しい運動は控えるようにしてください。
施術後の注意点としては、以下の点が挙げられます。
- 刺激を与えないようにしましょう(洗顔は泡で優しく洗うようにし、不必要に肌を触ったり、特に擦るような行為は避けましょう)。
- 紫外線対策をしっかり行いましょう。
- 保湿を十分に行いましょう。
- 肌を清潔に保ちましょう。(1日2回の洗顔をお勧めしております)
- お薬の使い方に関しては、当院、薬局の指示に従うようにしてください(もし矛盾するような指示があった場合にはご連絡下さい)。
Verde Clinic お茶の水では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて、最適なニキビ治療をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
参考文献
山崎 研志ほか: 尋常性痤瘡・酒皶ガイドライン 2023, 日本皮膚科学会雑誌. 2023; 133(3): 407-450.
Fox L, et al. Treatment Modalities for Acne. Molecules. 2016 Aug 13;21(8):1063.