液体窒素治療について

Created date 2025.02.25 Up date2025.02.25

液体窒素治療は、-196℃の液体窒素を用いて皮膚の異常組織を破壊する治療法です。本記事では、治療の具体的な流れ、期待される効果、注意すべき副作用・合併症、保険適用となる病気について解説します。

目次

治療の流れ

液体窒素治療は、患部に液体窒素を当てることで、異常な細胞を低温で凍結し、破壊する治療法です。初診時には、まず皮膚科医が患部を診察し、治療が適応となるかを判断します。その後、治療の内容やリスクについて説明し、患者さんの同意を得てから治療処置を行います。

具体的な方法としては、患部に数秒間液体窒素を浸み込ませた綿棒を当て、表面が凍って白くなったら一旦離します。数秒後、凍った表面が溶けて色が戻るのを待ち、再度同じ工程を繰り返します。このプロセスを通常3回程度繰り返します。

治療時間は、1か所の病変に対して1~2分程度ですが、複数個所がある場合は全体で3~5分かかることもあります。1回の治療で完治することは少なく、1~2週間間隔で繰り返し治療を行うことが一般的です。2週間よりも間隔が開くと効果が薄れる可能性があるため、定期的な通院が推奨されます。

治療の効果と通院期間

液体窒素は、病変組織を凍結・破壊することで、患部を正常な組織に置き替えていきます。例えば、ウイルスに感染した細胞や、そこに栄養を供給する血管を破壊することで、治療効果を発揮します。さらに、免疫系を刺激する可能性も指摘されています(刺激されて活性化した免疫がウイルスに感染した細胞やウイルス自体を破壊することが考えられます)。

一般的に、ウイルス性のイボに対する治療では、個人差はありますが数ヶ月にわたり繰り返し行うことで、徐々に病変が縮小し消失する傾向があります。ただし、足の裏や爪の周囲にできた深い病変は治りにくく、場合によっては年単位の治療になることもあります。3ヶ月以上治療を続けても改善が見られない場合は、他の治療法との併用を検討することもあります。

痛みと副作用・治療後のケア

  • 痛み: しみるような痛みと言われる患者さんが多いです。痛みに耐えられない場合は、他の治療法も検討可能です。
  • 水ぶくれ・傷・瘢痕: 治療後に水ぶくれができることがあります。水ぶくれが破れた場合は、清潔に保ち、医師に相談してください。
  • 色素沈着: 治療した部分の皮膚の色が濃くなることがあり、特に紫外線の影響を受けやすい部位では日焼け対策が望ましいです。

保険適用となる病気

  • 尋常性疣贅: ヒトパピローマウイルス感染によるできもの。小児の手や足によくでき、たこや魚の目のように皮膚が硬くなることが多い。
  • 脂漏性角化症(老人性疣贅): 一般的には加齢に伴い生じる皮膚の良性腫瘍で、主に顔や体幹に発生する。
  • 軟性線維腫(アクロコルドン、スキンタッグ): 主に首やワキにできる柔らかいできもの。
  • 日光角化症: 紫外線の影響で発生する赤みのあるできもの。皮膚がんのできはじめにあたるため、早期治療が重要です。
  • 尖圭コンジローマ: ヒトパピローマウイルス感染による陰部のできもの。

保険算定回数は週1回(月5回まで)と規定されています。

まとめ

液体窒素治療は、シンプルな処置でありながら、ウイルス性のイボなどの皮膚病変に有効な治療法です。治療後のケアや通院の継続が重要なので、不安なことがあれば医師に相談しましょう。

「この症状は液体窒素治療が必要なの?」と悩まれたら、お気軽に皮膚科を受診してください。

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