チルゼパチド中止後のリバウンドはどのくらい?SURMOUNT-4試験を詳しく解説

Created date 2026.08.24 Up date2026.08.24

チルゼパチドによる体重管理を検討するとき、多くの方が気になるのが「やめたあと、どのくらい体重が戻るのか」という点です。

この疑問に対して、比較的大きな臨床試験として参考になるのが、JAMAに掲載されたSURMOUNT-4試験です。チルゼパチドを36週間使用して体重が減ったあと、そのまま継続した人と、中止してプラセボに切り替えた人を比較しています。

この記事では、SURMOUNT-4試験とその追加解析をもとに、チルゼパチド中止後の体重再増加を患者さん向けに整理します。本記事は特定の薬剤使用を勧めるものではなく、実際の適応、薬剤選択、用量、継続可否は診察で医師が判断します。

目次

SURMOUNT-4試験とは?

SURMOUNT-4は、肥満または過体重の成人を対象に、チルゼパチドを継続した場合と中止した場合を比較した第3相ランダム化中止試験です。

  • 対象は肥満または過体重の成人
  • 2型糖尿病のある方は除外
  • BMI 30以上、またはBMI 27以上で体重関連合併症がある方が対象
  • 最初の36週間は全員がチルゼパチドを使用
  • 36週後に670人を、チルゼパチド継続群335人と中止・プラセボ群335人にランダム化
  • その後52週間、体重維持や体重再増加を比較
  • 食事療法と身体活動の指導は継続

この試験の特徴は、最初から薬剤を使う群と使わない群を比べたのではなく、「いったん減量できたあとに、続けるか、やめるか」を比較している点です。実際の診療でも非常に重要なテーマです。

36週間でどのくらい減ったのか

最初の36週間、参加者はチルゼパチドを最大耐用量の10mgまたは15mgで使用しました。その結果、36週時点で平均20.9%の体重減少が報告されています。

たとえば開始時体重が100kgの方なら、平均として約20.9kg減った計算です。もちろん、実際の変化は個人差があり、薬剤の用量、副作用、食事、活動量、体格、既往歴などによって異なります。

中止後1年でどのくらい戻ったのか

36週後にチルゼパチドを中止してプラセボへ切り替えた群では、その後52週間で平均14.0%の体重再増加がみられました。kgでみると、平均11.1kgの増加です。

一方、チルゼパチドを継続した群では、同じ期間にさらに平均5.5%の体重減少がみられました。

比較項目 チルゼパチド継続群 中止・プラセボ群
36週時点 平均20.9%減量後 平均20.9%減量後
36週から88週の体重変化 さらに-5.5% +14.0%
36週から88週のkg変化 -4.7kg +11.1kg
0週から88週の最終的な体重変化 -25.3% -9.9%
減量分の80%以上を維持 89.5% 16.6%

この結果からは、チルゼパチドで減量できたあとに中止すると、体重が再増加しやすいことが示されています。ただし、全員が同じように戻るわけではなく、戻り方には大きな個人差があります。

「減った分の何割戻ったか」で見るとどうか

2026年にJAMA Internal Medicineで公表されたSURMOUNT-4の追加解析では、中止した人のうち、36週時点で10%以上の体重減少を達成していた308人を対象に、「減った体重のうち、どのくらい戻ったか」を詳しく調べています。

減量分に対する再増加 人数 割合
25%未満 54人 17.5%
25%以上50%未満 77人 25.0%
50%以上75%未満 103人 33.4%
75%以上 74人 24.0%

つまり、中止後1年で82.5%の方が、チルゼパチドで減った体重の25%以上を再増加していました。約半数以上は減った体重の50%以上を、約4人に1人は75%以上を再増加していました。

さらに、約9%の方では、減った体重の100%を超えて戻った、つまり治療前より体重が増えた可能性も報告されています。

体重だけでなく、血圧・脂質・血糖にも影響

追加解析では、体重再増加が大きいほど、治療中に改善していた代謝指標も戻りやすいことが示されています。

たとえば、減量分の75%以上を再増加した群では、36週から88週にかけて腹囲、収縮期血圧、non-HDLコレステロール、HbA1cなどがより大きく戻る傾向がありました。

再増加の程度 36週から88週の体重変化 腹囲の変化 収縮期血圧の変化
25%未満 +3.2% +0.8cm +6.8mmHg
25%以上50%未満 +11.7% +5.4cm +7.3mmHg
50%以上75%未満 +18.5% +10.1cm +9.6mmHg
75%以上 +22.9% +14.7cm +10.4mmHg

体重だけでなく、腹囲や血圧、脂質、血糖関連の改善を維持するためにも、中止後の管理計画が重要であることがわかります。

この研究をどう読むべきか

SURMOUNT-4は、チルゼパチド中止後の体重再増加を考えるうえで非常に参考になる研究です。一方で、実際の診療にそのまま当てはめるには注意点もあります。

  • 試験で使われたチルゼパチドは主に10mgまたは15mgの高用量であること
  • 対象は2型糖尿病のない肥満または過体重の成人であること
  • 36週間の治療を完了し、ランダム化された方を対象にしていること
  • 中止後も食事療法と身体活動の指導は継続されていたこと
  • 日本人だけを対象にした研究ではないこと
  • 個人差が大きく、一部では少ない再増加にとどまる方もいたこと

そのため、「中止すると必ず戻る」と断定するのではなく、「中止後に体重再増加が起こりやすく、あらかじめ維持戦略を立てる必要がある」と理解するのが現実的です。

中止を考える前に相談したいこと

チルゼパチドを含むGLP-1/GIP関連薬は、開始時だけでなく、継続中止や減量後の維持も含めて計画することが大切です。

  • 現在のBMI、腹囲、血圧、血糖、脂質
  • 減量中に筋肉量が落ちすぎていないか
  • 食事量、たんぱく質摂取、活動量を維持できているか
  • 副作用や費用面で継続が難しくなっていないか
  • 中止、減量、間隔調整を検討する場合の再増加対策
  • 再増加したときにどのタイミングで相談するか

薬剤をやめること自体が悪いわけではありません。ただし、体重管理は短距離走ではなく、長期的な生活設計に近い治療です。中止する場合も、自己判断ではなく、体重・健診結果・副作用・生活状況を見ながら医師と相談して決めることをおすすめします。

日本でのマンジャロ・ゼップバウンドとの関係

チルゼパチドを有効成分とする薬剤には、国内ではマンジャロとゼップバウンドがあります。ただし、日本での承認内容が異なります。

薬剤名 一般名 国内での主な位置づけ
マンジャロ チルゼパチド 2型糖尿病治療薬として国内承認。肥満治療目的では適応外使用
ゼップバウンド チルゼパチド 肥満症治療薬として国内承認

当院で取り扱うマンジャロは、海外製未承認品や個人輸入品ではなく、国内一次卸から入手しています。診察時には、肥満治療目的では国内未承認であること、国内承認薬の有無、入手経路、副作用、費用について確認します。

ベルデクリニックの体重管理外来

当院では、ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロのご相談に対応しています。診療は健康保険を使用しない自費診療です。診察料は無料、保冷袋・保冷剤は無料、発送の場合はクール便送料1,300円です。

治療前のBMIが23未満の方、妊娠中・授乳中・妊娠希望の方、甲状腺の病気がある方、膵炎・胆石・胆嚢炎・重度の胃腸障害などがある方は、処方できない場合があります。既往歴、内服薬、体調によっても医師が不適切と判断することがあります。

オンライン診療にも対応しています。診察で適応、安全性、費用、受け取り方法、継続方針を確認したうえで処方可否を判断します。

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