チルゼパチドは、2型糖尿病治療薬「マンジャロ」としても知られ、肥満症治療薬としても使用される新しい薬剤です。今回、*New England Journal of Medicine*に掲載された「SURMOUNT-1」試験の結果から、チルゼパチドの肥満治療と糖尿病予防における3年間の効果が明らかになりました。この試験結果は、チルゼパチドが肥満および前糖尿病状態の患者に対して非常に高い有効性を持つことを示しています。
[論文のリンクはこちら](https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2410819)
試験概要
SURMOUNT-1試験は、肥満または肥満に加えて前糖尿病状態のある2,539名を対象に行われ、3年間にわたりチルゼパチドの効果と安全性が評価されました。参加者は週に1回、5mg、10mg、15mgのいずれかのチルゼパチドを投与されるグループとプラセボを投与されるグループにランダムに分けられました。
驚異的な体重減少効果
チルゼパチドを投与された参加者は、用量に応じて次のような体重減少効果が見られました:
- 5mg投与群:平均体重減少率 12.3%
- 10mg投与群:平均体重減少率 18.7%
- 15mg投与群:平均体重減少率 19.7%
これに対してプラセボ群では、わずか1.3%の体重減少にとどまりました。特に15mgの高用量群では、約20%の体重減少が見られ、体重管理における効果が非常に高いことが示されました。
糖尿病発症リスクの90%減
さらに、3年間の治療期間中に新たに2型糖尿病を発症した割合は以下の通りです。
- チルゼパチド群:1.3%
- プラセボ群:13.3%
チルゼパチドによる治療を受けた患者は、プラセボと比較して糖尿病発症リスクが90%低減されました。
また、治療終了後の17週間のオフ期間を含めた累計でも、チルゼパチド群の糖尿病発症率は累計2.4%にとどまり、プラセボ群の13.7%と比較してリスク減少が確認されました。引き続き予防効果が持続していたようです。
健康指標の改善と安全性
チルゼパチド群では、体重減少や糖尿病予防効果以外にも、ウエスト周囲径、血圧、脂質プロファイル(総コレステロール、HDL、LDLなど)の改善が見られました。特に、血圧が平均で約5mmHg低下し、心血管系リスクの軽減にも寄与しています。
副作用としては、主に消化器系の症状(吐き気、便秘、下痢)が報告されましたが、これらは軽度から中等度であり、特に投与開始から20週目までの用量増加期間中に多く見られました。
チルゼパチドの可能性と展望
チルゼパチドは、体重減少効果とともに糖尿病発症リスクを大幅に低減することが確認され、肥満および前糖尿病の患者にとって非常に有望な治療薬です。今回の試験結果は、チルゼパチドが単なる体重管理の枠を超え、糖尿病予防にも有効であることを示しており、今後の肥満治療薬や糖尿病予防薬として広く活用される可能性を秘めています。
当院でのチルゼパチド(マンジャロ)治療について
当院では、自費診療でチルゼパチド(マンジャロ)による肥満治療を行っています。SURMOUNT-1試験の結果からも分かるように、チルゼパチドは肥満治療や糖尿病予防に非常に高い効果を発揮します。治療をご希望の方は、下記リンクからご予約ください。
ご注意事項:
- 治療には医師の診察が必要です。
- 副作用についての十分な説明を行ったうえで、適切な用量を処方いたします。
- 詳細は予約ページにて。