2024年12月2日、厚生労働省の薬事審議会・医薬品第一部会において、日本イーライリリーが申請していた肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」(一般名:チルゼパチド)が承認されました。この薬剤は、同社がすでに国内で販売している2型糖尿病治療薬「マンジャロ」と全く同じ成分・規格で構成されています。
マンジャロとゼップバウンドの違いは適応のみ
ゼップバウンドの有効成分であるチルゼパチドは、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の二重作用を持つ作動薬です。この作用により、血糖値の改善と同時に食欲抑制効果が期待されます。ゼップバウンドは特に肥満症患者の体重管理を目的として承認されており、以下の条件を満たす患者が対象となります。
- BMIが27以上で、肥満に関連する健康障害を2つ以上有する
- BMIが35以上
一方で、マンジャロは2型糖尿病治療を主な目的としており、適応疾患が異なる点が大きな特徴です。
海外での実績と国内展開
ゼップバウンドは、すでに欧米を含む40カ国以上で肥満症や過体重の体重管理を目的に承認されており、日本国内でも期待が高まっています。同薬は、食事療法や運動療法では十分な効果が得られなかった患者に対する新たな選択肢として注目されています。
国内では、2023年4月にマンジャロが2型糖尿病治療薬として発売されており、ゼップバウンドの承認によって同成分を用いた治療がさらに幅広い患者層に提供される見込みです。
肥満症治療の新たな一歩
ゼップバウンドは、体重管理が難しい患者に対し、医療の現場で重要な役割を果たすことが期待されています。今回の承認により、肥満症治療における選択肢が広がり、より多くの患者が医療の恩恵を受けることができるでしょう。
マンジャロをすでに使用している医療機関では、同じ規格と成分のゼップバウンドを迅速に導入できる点も利点といえます。肥満症に悩む患者にとって、科学的根拠に基づく新しい治療法が提供されることとなります。